MENU
🗾 現在 10/ 47 都道府県を制覇!「全国旅ランマップ」はこちら

【読書記録】イン・ザ・メガチャーチ 感想|推し活が「宗教」になる現代をリアルに描いた傑作

こんにちは、SHISHIです🦁

走りながら、よく考えることがあります。

マラソンのレース前後に感じるあの一体感。同じゼッケンをつけた見知らぬ人と「お互いがんばりましょう」と声を掛け合う瞬間。ランニングコミュニティで盛り上がるランニングアプリ。

あれって、一種の「推し活」と構造が似ているのかもしれない——そんなことを考えながら読み終えたのが、この本でした。

イン・ザ・メガチャーチ 朝井リョウ (著)

目次

この本、どんな内容?

朝井リョウといえば『桐島、部活やめるってよ』『何者』『正欲』——現代を生きる人間の「痛いところ」を正確に突いてくる作家です。そんな彼の最新作は、ファンダム経済と推し活をテーマにした小説です。

登場人物は3人。大手音楽プロモーション会社の経理スタッフ・久保田(40代後半)、その娘であり内向きで繊細な大学生の澄香(21歳)、そして非正規で働く絢子(20代後半)。

アイドル運営の仕掛ける側、推し活にのめり込む側、かつてのめり込んでいた側——世代も立場もバラバラな3人の視点が交差しながら、「物語が人をどう動かすか」の構造を炙り出していきます。

「神がいないこの国で人を操るには、”物語”を使うのが一番いいんですよ」

このセリフが、全てを物語っています。

「沼る」ってこういうことだったのか、と思い知った

読み始めて最初に感じたのは、登場人物たちへの強烈な「共感」でした。

久保田は家族と離れて暮らし、仕事でも存在感が薄い中年男。澄香は繊細すぎる気質ゆえに人間関係に疲弊している大学生。絢子は非正規の仕事をしながら、自分の居場所を探し続けている。

「これ、どこにでもいる人だな」と思いながら読み進めると、彼らがそれぞれ少しずつ、でも確実に、「推し」や「物語」の中に吸い込まれていく。

怖いのは、誰かに騙されているわけでも、洗脳されているわけでもないことです。孤独や不安を埋めようとした自然な欲求が、気づかないまま視野を狭めていく。

「なんで夢中になっているのか」「自分は正しいのか」を考える余地がなくなっていく過程が、朝井リョウの筆でものすごいリアリティで描かれていて、読んでいて何度も背筋が寒くなりました。

タイトル「メガチャーチ」の意味がズシンとくる

「メガチャーチ」とは、数千人規模の信者を持つ巨大な教会のことです。

この本では、それが推し活コミュニティの比喩として使われています。強い帰属意識と一体感を生み出す装置——そこには仕掛ける側と、信じる側がいる。

「そこにいる自分を誇っている」という意味を込めたタイトルだそうです。胸を張って「私はここにいる」と言える場所を見つけたとき、人はそれが本当に自分のための場所かどうかを疑わなくなる。

読み終えてから改めてタイトルを見ると、そのズシンとした重さがまったく違って感じられます。

ランナー目線でも刺さりすぎる一節があった

小説の中に、こんな趣旨のセリフが出てきます。

「何でもいいんです。酒でもタバコでもギャンブルでも、SNSでも海外ドラマでも読書でも恋愛でも育児でも仕事でも環境保全活動でも。とにかく、何かに対して熱量を高めていたい、何かに時間や労力や資金を注いでいたいという人はとても多い」

読んだとき、正直ドキッとしました。

ランニングだって同じじゃないか、と。サブスリーを目指して練習を積むのも、レースに出て仲間と盛り上がるのも、GARMINのデータを眺めて一喜一憂するのも——「何かに没頭したい」という欲求が根っこにある、という意味では構造が似ているのかもしれない。

もちろん、健康的な趣味と依存や搾取では大違いです。でもこの本を読んで、「自分がどのくらい意識的に選んでいるか」を問い直す機会をもらった気がしました。

「物語」を肯定も否定もしない、その誠実さ

この本の一番すごいところは、推し活や「物語」への没頭を、安易に「悪いもの」として切り捨てないことです。

登場人物たちは確かに視野を狭めていく。でもその「物語」によって、孤独が和らいで、生きていく力を得ている側面もある。

朝井リョウは、その両方をまるごと差し出してくる。「これはどうですか」と読者に突きつけてくる。答えは出さないまま、ページが終わる。

読み終えたあと、しばらく何も手につきませんでした。それが「良い読書体験だった」の証拠だと思っています。

まとめ:こんな人に読んでほしい

  • 推し活や SNS の「熱狂構造」が気になっている人
  • 自分がなぜある趣味やコミュニティに没頭しているか考えてみたい人
  • 朝井リョウの「現代を切り取る精度」が好きな人
  • 448ページ、するっと一気に読めるエンタメ×思想の傑作が読みたい人

ランニングを通じて「走ることの意味」を考えるように、この本を読んで「熱中することの意味」を考えさせられました。

2026年の本屋大賞受賞も納得の一冊。まだの方はぜひ🦁

  • 衝撃の潜入ルポ: 巨大宗教組織の内実を鋭く描き出し、知的好奇心を刺激します。
  • 社会構造を理解: 熱狂が生まれるメカニズムを学び、現代社会を読み解く視点が得られます。
  • 圧倒的な没入感: 緻密な描写により、まるでその場にいるような臨場感で一気に読了できます。

次に読みたい本:『物語思考』けんすう(古川健介)

『イン・ザ・メガチャーチ』を読み終えて「物語」というキーワードが頭に残っていたとき、ふとAmazonでこんな本が目に入りました。

物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術

  • 「自分」を切り離す: 理想のキャラクターを演じることで、行動のハードルを劇的に下げられます。
  • 転用可能なスキルを構築: 環境に左右されない、一生モノのキャリア形成の秘訣が学べます。
  • メンタルブロックを解除: 「なりたい自分」への物語を描き、迷いなく一歩踏み出せるようになります。

まだ読めていないのですが、タイトルだけで「これは絶対に読まなきゃ」と思いました。

「物語が人をどう動かすか」をまざまざと見せられた直後に、「物語思考でキャリアを設計する」という発想が目に飛び込んできました。読んでみたくなります。

朝井リョウが「物語に飲み込まれていく人間」を描いたとするなら、この本は「物語を自分で設計して生きていく方法」を教えてくれそう。同じ「物語」というキーワードなのに、向いている方向が真逆なのがおもしろいです。

ランナーとして言い換えると、「なぜ走るのか」を問い直したあと(メガチャーチ)、「どんな自分として走り続けたいか」を考えていく(物語思考)——そんなイメージで、セットで読んだらものすごく面白そうだと感じています。

読んだらまたこのブログでレビューします!気になった方はぜひチェックしてみてください🦁

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次